イメージセンサ/プロセッサ三次元集積システムに向けた非同期無線通信および画像処理プロセッサアーキテクチャに関する研究
松山 健人
2014 年度 卒 /修士(工学)
修士論文の概要
本研究は、コンピュテーショナルイメージング処理分野を応用ターゲットとして、高並列イメージセンサ、高並列イメージプロセッサ、磁気結合によるチップ間インターフェイス(TCI)などの技術を磨き、これまでにない三次元集積システムを実現することを目指している。ここ数年で、アナログカメラからデジタルカメラに継承されてきた光学処理系(端的にはレンズと絞り)をデジタル信号処理に置き換えることにより、より豊かな映像表現やより正確な画像理解・認識を実現しようとする試みであるコンピュテーショナルイメージングと呼ばれる分野が注目を集め始めている。この応用としては、例えば記録後にピント位置やボケ具合を自由に調整できたり、動きのある物体のブレを止めて見せたりできるデジタルカメラの実現、高速で動く物体を正確に測距しながら詳細に形状認識可能なマシンビジョンの実現、などが例として挙げられる。この技術は、セキュリティシステム、ロボットなどの画像処理モジュールに、今後革命的な進歩をもたらしていくと予想されている。
この分析を踏まえ本研究では、今後重要性が増していくコンピュテーショナルイメージング分野において特に必要とされるイメージプロセッサの高速化・低電力化を合わせて実現することが可能なコンパクトで低電力な3次元集積システムを実現し、スマートソサイエティの一翼を担うインテリジェントな画像処理モジュールの革新的基盤技術を確立することを、本研究の目的に定めた。このような目標を達成するために、本研究では、イメージセンサ、イメージプロセッサ、および両者間の結合を従来の1次元的なアーキテクチャから2次元並列アーキテクチャに刷新することを提唱している。本研究では、様々な技術検討の中から、以下の項目にブレークダウンして研究を進め、それぞれについて議論を行う事で、本論文を構成した。1つ目は、イメージセンサ/プロセッサの並列ブロックの数を2と置いたときに、視差から深さ情報を低計算量で生成するアルゴリズムとその省リソースハードウェアアーキテクチャの研究(ステレオマッチングに相当)を行い、先攻研究に対して、更なる資源節約や、スケールの拡張を施した。2つ目は、センサ-TCI-プロセッサ全体のLSI実装及び測定をし、インターフェイスを回路の評価を行った。